ハリケーン ドーラ 5年ぶりの越境台風となる可能性
ハワイに甚大な山火事被害をもたらした「ハリケーン ドーラ」は、2023年8月11日現在も勢力を維持しており、180度経線を越えて、気象庁の監視領域である東経域に入るとみられています。
WMO（世界気象機関）管区図
気象庁の台風の監視領域は、北西太平洋（赤道より北で東経180度より西の領域）及び南シナ海で、この監視領域内で発生する熱帯低気圧のうち、10分間平均の最大風速がおよそ17m/s以上のものを台風と呼びます。
180度罫線よりも西側の西経域で発生したハリケーンや熱帯低気圧（TS：トロピカルストーム）が気象庁の監視区域に進入するとCPHC（米中部太平洋ハリケーンセンター）から気象庁に監視が引き継がれ、これに伴ってハリケーンや熱帯低気圧（基準を満たしている）は「台風」と呼称されます。
前回の越境台風は、国際名「ヘクター」（2018年）の越境で、平成30年台風17号「ヘクター」となりました。※越境時のヘクターはTS：トロピカルストーム
ドーラが越境した場合、国際名が引き継がれるため、台風のアジア名は付与されず、令和5年台風第8号「ドーラ」となります。
ハリケーン ドーラ｜Hurricane Dora
ハリケーン ドーラ Hurricane Dora
米NHC（National Hurricane Center）が数日間監視していた熱帯波は、2023年7月29日、エルサルバドル沖で中米を越え東太平洋に入り、発達に良好な環境の中で広範囲に雨と雷雨をもたらした。
7月31日には大気の集合化が進み、同日午後には熱帯低気圧Five‑Eが発生した。
低気圧内で深い対流が増加し、8月1日早朝には熱帯低気圧ドーラへと強まった。
8月2日から3日にかけて、メキシコのカボ・サン・ルーカスのはるか南西で、ドラはカテゴリー4の強さまで急速に発達した。
その後、Eyewall replacement cycleを経た後、カテゴリー3まで弱まったものの、再びカテゴリー4に強まり、8月4日の早朝、持続的な風は時速140マイル (220 km/h) に達した。
4日遅くから次の日にかけて、勢力はカテゴリー2に弱まり、風は弱まったものの、再び発達を始め、時速105マイル (165 km/h)まで勢力を強めた。
ドーラは8月5日、時速145マイル (時速 230 km) の持続風で3度目のカテゴリー4に達した。
この再発達により、ドーラは環状の形質を獲得し、幅17マイル (28 km) の対称的な目を出現させ、周囲を回転するにわか雨と雷雨の帯に包まれた後、激しい雷雨活動が発生する厚い輪を形成した。
8月6日15時UTC、ドーラは時速21マイル（時速33キロ）で西に向かって進みながら、わずかな勢力の変動を起こしつつ、中央太平洋盆地（海盆：海底の大規模な凹所）を横切った。
ドーラは、8月8日もカテゴリー4の強力なハリケーンであり続け、時速130マイル（時速215キロ）の風を吹き続けながらハワイ島のはるか南を通過した。
8月9日の朝、ドーラは再び勢力を強め、透明度が低く暖かい海面温度の環境の中で時速145マイル (230 km/h) の風を発生させた。
その後も、明確で対称的な幅9.2マイル (15 km) の目を備えた環状の特徴を示し続け、同日遅く、ドーラは環状構造が分散しはじめ、内部に乾燥した空気の侵入を受けやすい状態となった。この間、ハリケーンドーラはジョンストン島の南を通過した。嵐の構造の変化の結果、ドーラは8月10日の朝にカテゴリー3の強さまで弱まった。
ドーラはハワイ諸島に直接的な脅威をもたらすことはなかったが、ホノルルの国立気象局は、ハリケーンが進行中の干ばつと連動して貿易風を強めると予想、各島の一部に多数の気象警報や注意報、特に赤旗警報を発令した。
ハワイの北の強い高気圧と南のドーラの間の急な気圧の傾きは、島々の上空に信じられないほど強い傾度風を発生させ、その結果、ハワイ島とマウイ島で複数の山火事を引き起こす要因となった。
この火災により、マウイ島で少なくとも53人が死亡し、ハワイ王国の首都であったラハイナを中心に1,000棟以上の建物が損壊または破壊された。
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8月1日メキシコ沖の東太平洋でTS：トロピカルストームが発生。NHC（米国立ハリケーンセンター）が「Dora」を付与。NHCの監視区域を越えたため、CPHC（米中部太平洋ハリケーンセンター）が監視引き継ぎ。8月11日時点で、CPHCの監視区域から気象庁監視区域に越境する可能性。
ハリケーン ドーラ Hurricane Dora NHC 8月10日
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