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三陸沖の海洋内部水温が平年より約10℃も高い記録的な状態 気象庁が発表

気象庁

 

三陸沖の海洋内部水温が記録的に高い

気象庁は2023年8月9日、同年7月の三陸沖の海洋内部の水温が記録的に高い状態であると発表しました。

気象庁の海洋気象観測船「凌風丸」が7月下旬に三陸沖で観測した結果、沿岸から100~500km沖、南北約300kmの海域で、水温が記録的に高くなっている状態が確認され、水深約300mでは17度で、平年の7度前後に比べ約10度高かった。

海洋内部の水温の継続的な観測データはないが、気象庁の予測モデルを用いた分析によるとこの30年間で最も高い状態で、少なくとも今後1カ月は高い水温が続く見通しという。

2021年頃から北上し始めた黒潮の影響で、2023年春には岩手県沖にまで達している。

気象庁によると、今回と同程度に北上したのは1979年以来との研究もあり、珍しい現象としている。詳しい原因は不明であるものの、気象庁は、「地球温暖化と直接の関係はない」としている。

 

三陸沖の深さ400mの月ごとの水温解析値の推移 気象庁

三陸沖の深さ400mの月ごとの水温解析値の推移 気象庁

 

 

三陸沖の海洋内部の水温が記録的に高くなっています

報道発表日

令和5年8月9日

 

概要

三陸沖では2022年(令和4年)秋以降、海洋内部の水温が記録的に高くなっていることが解析され、7月に行った気象庁の海洋気象観測船「凌風丸」による海洋内部の観測でも、平年より約10℃も高い水温を観測しました。これは黒潮続流(※)が三陸沖まで北上していることが原因と考えられ、水産資源の分布などに関連する海洋環境への影響が懸念されます。
(※日本南岸に沿って流れる黒潮の、房総半島以東の流れを黒潮続流と呼びます。)

 

本文

三陸沖では2022年秋以降、海面水温が平年よりかなり高い状態が続いています。さらに、気象庁の海洋モデルにより、海洋内部まで高い水温が続いていることが解析されています。
これを受けて、気象庁の海洋気象観測船「凌風丸」は、2023年7月22日~25日にこの海域で海洋観測を実施し、海洋内部で平年より約10℃も高い水温を観測するなど、記録的な高温を直接確認しました。
このような三陸沖の高い水温は、2023年4月以降に顕著になった黒潮続流の北上の影響と考えられます。海洋モデルによる解析では、7月末以降、黒潮続流の北上部分が一時的に暖水渦として切離する現象がみられますが、三陸沖の高い水温は少なくとも向こう1か月は継続する見通しです。
この三陸沖の海洋内部での記録的に高い水温や海流の変化により、海洋環境への影響が懸念されます。このような海洋情報は、関係機関に共有され、水産資源の分布への影響の研究などに利用されています。気象庁は、継続的な海洋の観測、解析により、適時・適切な海洋情報を提供してまいります。

図を含む資料全文につきましては、下記の「資料全文」をご参照ください。

 

資料全文

三陸沖の海洋内部の水温が記録的に高くなっています [PDF形式:1.16MB]

 

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