WHO世界保健機関がITU国際電気通信連合と国際規格
WHOは2019年2月12日、ジュネーブの同本部より、スマートフォンやポータブルオーディオプレーヤーなどの音楽機器を使用する若い世代の人々のおよそ半数に「難聴の危険」があり、それを回避するための方策を、ITU国際電気通信連合と共に策定したことをニュースリリースを通じて、発表しました。
その中で、1週間の安全な音の大きさの目安は、地下鉄の車内に相当する80デシベルで40時間までとしています。
Safe listening devices and systems: a WHO-ITU standard
新しいWHO-ITU規格は、11億人の若者の聴力低下を防ぐことを目的としています
12〜35歳の人々の50%近く、または11億人の若者が、パーソナルオーディオデバイスを介して聴く音楽を含む、大音量の音への長時間の過度の曝露により聴覚障害のリスクがあります。
世界聴聞会(3月3日)の前に、世界保健機関(WHO)と国際電気通信連合(ITU)は、スマートフォンやオーディオプレーヤーを含むこれらの機器の製造と使用に関する新しい国際規格を発行しました。聞いてより安全です。
WHO事務局長のTedros Adhanom Ghebreyesus博士は、「聴覚障害を予防するための技術的なノウハウがあることを考えると、非常に多くの若者が音楽を聴きながら聴覚障害を起こし続けるわけではないはずです」と述べています。一旦彼らが彼らの聴力を失うと、それは戻ってこないことを理解しなければなりません。この新しいWHO-ITU標準は、これらの若い消費者が自分たちが楽しんでいることをやろうとしているときに、より良い保護に大いに役立ちます。」
聴覚障害は世界人口の5%
世界の人口の5%以上、すなわち4億6,600万人が聴覚障害を持っています(大人4億3,200万人、子供3,400万人)。彼らの生活の質に影響を与える。大多数は中低所得国に住んでいます。
2050年までに9億人を超える人々(10人に1人)が聴覚障害を無効にすると推定されています。対処されていない聴力損失は、年間7,500億米ドルの世界的なコストをもたらします。全体的に見れば、聴覚障害の全症例の半分は公衆衛生対策によって防止できると示唆されています。
安全なリスニング装置の特徴
リスニングデバイスおよびシステム安全は:-ITU標準は、個人的なオーディオ機器が含まれていることをお勧めします。
- 「音響許容量」機能:基準曝露の使用パーセントとして、音に対するユーザの曝露のレベルおよび持続時間を追跡するソフトウェア。
- パーソナライズドプロファイル:ユーザーのリスニング習慣に基づいた個別のリスニングプロファイルで、ユーザーがどれほど安全にリスニングしているか(またはしていないか)をユーザーに知らせ、この情報に基づいて行動を促します。
- 音量制限オプション:音量を制限するためのオプション。自動音量調整やペアレンタル音量調整などがあります。
- 一般的な情報:個人用のオーディオ機器を通した、そして他の余暇活動のための、安全なリスニング方法に関するユーザーへの情報とガイダンス。
この規格は、騒々しい娯楽施設で音楽やその他の音に晒されているとき、および個人のオーディオ機器を介して音楽を聴いているときの両方で、特に若者のリスニング習慣を改善しようとするWHOの「Make Listening Safe」イニシアチブの下で開発されました。安全なリスニング機器のためのWHO-ITU規格は、政府、産業界、消費者、市民社会の専門家を含むさまざまな利害関係者との最新の証拠と協議をもとに、2年間のプロセスでWHOとITUの専門家によって開発されました。
WHOは、政府と製造業者が自主的なWHO-ITU標準を採用することを推奨します。市民社会、特に聴覚医療を促進する職業団体なども、消費者が聴覚障害から身を守る製品を要求するように、規格の擁護および安全な聴取慣行の重要性についての公衆の意識の向上に果たす役割を果たしています。安全なリスニングデバイスのための世界標準を実装するためのWHO-ITUツールキットは、これを行う方法に関する実用的なガイダンスを提供します。
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https://apps.who.int/iris/bitstream/handle/10665/280086/9789241515283-eng.pdf
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https://apps.who.int/iris/bitstream/handle/10665/280085/9789241515276-eng.pdf
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日本の国内報道から
ヘッドホン難聴、あなたの耳は大丈夫? 周囲の音が聞こえない音量は要注意
世界中の若者を中心に忍び寄る深刻な問題に「ヘッドフォン難聴」があります。ヘッドホンやイヤホンで長時間、大音量で音楽や動画の音を聴いたりすることで引き起こされます。
どんな症状が出るのか?そして予防法は?専門の医師に聞きました。
2019年、WHO(世界保健機関)は12歳~35歳までの若い世代を中心に、11億人がヘッドホンやイヤホンの使用によって耳が聞こえにくくなる難聴のリスクにさらされていると発表しました。
今野真帆アナウンサー:
「なぜ、警鐘を鳴らしているかというと、それは一度失った聴力は元に戻らないと言われているからです」
ヘッドホン難聴について教えてくれるのは、福井県済生会病院・耳鼻咽喉科の清水良憲医師です。
清水医師:
「ヘッドホンを長いこと大きな音で音楽を聴いている影響で、耳の聴こえ方が悪くなる。症状としては難聴で、聴き取りに不自由が生じる。WHOは特に若い方がヘッドホンで何年も何十年も聴き続けることで、将来的にある程度の年代になった時に難聴を生じる可能性があるとしている」
ヘッドホンやイヤホンで長時間、音楽や音を大音量で聴き続けると、耳の奥にある音を感じて脳への電気信号に変える感覚細胞がダメージを受け、働かなくなります。この細胞が壊れると音を感じ取りにくくなり、難聴が引き起こされるのです。
また、一度傷ついた感覚細胞は元に戻ることはないと言われているため、有害な音量の蓄積によって引き起こされる難聴は治らないと考えられています。
街中で若い人の声を聞いてみると…
Q:1日どれくらいイヤホンをつけている感覚がある?
A:4時間くらい。音量は大きめにしているので耳にも良くないと思っている。
6~7年にわたり、1日6時間ほどヘッドホンを使用しているこちらの女性は。
A:起き上がった時に耳が聴こえにくくて、その時に一瞬、聴こえないなというか、ちょっと耳がやられているなというか…使い過ぎちゃったなって
では具体的にどれくらいの音を、どのくらいの時間聴き続けると難聴のリスクがあるのでしょうか。
清水医師:
「音の大きさの基準としては、音の大きさを表す数値で80デシベル。それを超える音の大きさで1週間に40時間を超えて聴いていると、難聴になる恐れがあるといわれている」
80デシベルとは日常生活ではヘアドライヤーを耳元で作動させて聴く音の大きさです。
周りの音を気にせず音楽を楽しんでいるとしたら、音量が100デシベルを超えている可能性が非常に高く、耳にとってはとても過酷な環境です。
WHOでは音量を下げたり連続して聞かずに休憩を挟んだりする、使用を1日1時間未満に制限することなどを推奨しています。
最近、スマートフォンではその機種で出せる最大音量をある程度制限できる機能がついています。80デシベルを超えた音が出ないような設定で使うことも大切。
スマートフォンの広がりとともに、若い世代を中心にヘッドホンやイヤホンでどこでも気軽に音楽や音が楽しめる現代。今、自覚症状はなくても、あなたの耳はヘッドホン難聴のリスクに晒されているかもしれません。
清水医師:
「ヘッドホン難聴は普段聴いている音楽が将来的に自分が大きくなった、大人になった時に難聴という形で自分に返ってきます。少しでも自分の耳を大事にして、将来の健康につなげてほしい」
©福井テレビ202305151916
若者の「スマホ難聴」注意 大音量の音楽鑑賞が原因
世界保健機関(WHO)は2月下旬、聴力を守るためにスマートフォン(スマホ)などで音楽を鑑賞する場合は「1日1時間以内」に控えるべきだとする指針を発表した。難聴となる恐れが指摘されるためだ。難聴は初期には自覚症状がない上、失った聴力を回復するのは難しい。大音量の音楽が流れる場所に行く機会が多い人も注意が必要だ。
”老人性”のリスク
難聴は、耳の器官や聴覚神経の障害などが原因で聞こえにくくなる病気。騒がしい場所で聞き取りにくかったり、音は聞こえるのに内容が理解しにくかったりする。
大きな音に長時間さらされることで聞こえにくくなるのは、聴覚器官の内耳にある蝸牛(かぎゅう)の音を感じる細胞が障害を受け、死んでしまうためだ。死んだ細胞を再生させる治療法はなく、正常な聴力を維持するには予防するしかない。
WHOが指針を出した背景には、スマホの普及により米国で、大音量の音楽を聴く若者の難聴が増えているというデータがあり、問題となっていることがある。
東京大大学院医学系研究科耳鼻咽喉科の山岨(そば)達也教授は「日本でもかつて“ウォークマン難聴”が問題となったことがあるが、米国のような具体的なデータはなく、実際に若者で難聴が増えているかどうかは分からない」とした上で、「若いときから大きな音に接していると、加齢による難聴のリスク要因になる。注意は必要だ」と指摘する。
耳鳴りがサイン
加齢による老人性難聴の多くは、蝸牛の細胞の死滅だけでなく、耳の器官の障害など複数の原因が複合的に関係している場合が多い。
日本では65歳以上の25~40%、75歳以上の40~66%、85歳以上の80%以上にみられ、罹患(りかん)者は1500万人以上に上るという。
加齢により聞こえにくくなるのは誰にでも起こりうることだが、若いときから長時間、大音量にさらされていると、ダメージが蓄積して30代や40代の早い時期に老人性難聴を発症することがあるという。
では、どの程度の音に気をつけたらいいのか。
WHOは「100デシベルの騒音なら15分以内」とする。100デシベルは「電車が通るときのガード下の騒音」程度に相当する。
周りがうるさい電車内でイヤホンを使い音楽を聴いていると、無意識のうちにボリュームが大きくなりやすいので注意が必要だ。
また、耳鳴りは内耳の細胞が損傷しているサイン。うるさい所から静かな所に移動したときに、「シーン」という耳鳴りがしたら大音量の場所にいたと考えるべき。同じ場所には近寄らないことが勧められる。
意外な原因が飲酒。最近の研究で飲酒により内耳の細胞を壊す物質が出ることが分かっており、ナイトクラブなどで飲酒しながら長時間、大音量で音楽を聴くのは避けたい行為だ。
山岨教授は「何ともなかったのに突然聞こえにくくなるなどの症状が出たときは、早期に治療を開始すれば、聴覚神経の障害が進行するのを防げる。発症から数日以内に医療機関を受診してほしい」と話している。
世界で11億人の若者に難聴の恐れ
WHOは音楽などを大音量で長時間聴く習慣のため難聴になる恐れがある若者(12~35歳)は世界で約11億人に上ると指摘。「若者らは聴力をいったん失えば二度と回復しないことを肝に銘じる必要がある」と厳しい言葉で警告している。
スマホやオーディオ機器で音楽を聴く人だけではなく、コンサートやスポーツイベントなど大音量に長時間さらされる場所に頻繁に行く人も注意が必要とし、会場で耳栓を利用することなどを提案している。
各国政府に対しては、コンサートやイベントなどで使用できる音量の規制を強化したり、難聴のリスクに関する啓蒙(けいもう)活動を実施したりすることを提言している。(産経新聞)
あなたもスマホ難聴になるかも WHOが警告
国連は、スマートフォンなどで大音量で音楽を聴くことによって、世界の若者のおよそ11億人が難聴になるおそれがあると警告し、安全な音量に関する新たな指針を発表しました。
WHO=世界保健機関は、世界の12歳から35歳までの若者のうち、ほぼ半数に当たるおよそ11億人が、長時間、大きな音に過剰にさらされ、難聴になるおそれがあると警告していて、その原因として、スマートフォンや携帯音楽プレーヤーの普及で、イヤホンやヘッドホンを使って大音量で音楽を聴く人が増えたことや、クラブやバーで大きな音に接していることなどを指摘しています。
このため、WHOは来月3日の「国際耳の日」を前に、ITU=国際電気通信連合と合同で安全な音量に関する新たな指針を発表しました。
全スマホや音楽プレーヤーに音量制限機能求める
それによりますと、1週間の安全な音の大きさの目安は、地下鉄の車内に相当する80デシベルで40時間までとしています。
そのうえで、安全な音量で音楽を楽しむために、すべてのスマートフォンや携帯音楽プレーヤーに音量を制限する機能や、一定期間内にどれくらいの音を聴いたのか表示する機能を備えるよう求めています。
WHO「一度失った聴力は戻らない」
WHOのテドロス・アダノム事務局長は「一度失った聴力は戻らないということを理解しなければならない。この指針は若者を守るのに大いに役立つだろう」とコメントしています。(NHK)