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史跡指定相当の埋蔵文化財 文化庁が全国42カ所を初公表 第1期指定一覧

史跡指定相当の埋蔵文化財 文化庁が全国42カ所を初公表 第1期指定一覧

富雄丸山古墳 202年1月 奈良市 Kyodo

 

史跡指定相当の42カ所一覧 文化庁発表

文化庁は2023年10月27日、全国の埋蔵文化財(遺跡)の中から国指定の史跡に相当する価値がある27県・計42カ所を初めて選定し、公表しました。

史跡に指定されると開発行為などに強い規制がかけられますが、その前段階で、土地の開発事業者などに保存に向けた配慮を促すことが狙いとしています。

遺跡のある土地は全国に約47万件。

各自治体が「周知の埋蔵文化財包蔵地」として地図で公表するなどしています。このうち史跡指定されるのは、学術的価値が高く所有者の同意が得られたものに限られます。

今回選定された42件は、縄文時代から近代にかけての城跡や古墳で、市街地にある平城貝塚、益生田古墳群(福岡県久留米市)などは今後、開発との調整が求められる可能性が想定されます。富雄丸山古墳からは、国内最大の「蛇行剣」が出土、公開されています。

 

番号 名称 所在地
1 福島城跡 青森県五所川原市
2 早稲田・野口貝塚  青森県三沢市
3 南部家墓所  岩手県盛岡市
4 黒山の昔穴  岩手県九戸村
5 野蒜築港跡  宮城県東松島市
6 仙台藩主伊達家墓所  宮城県仙台市
7 胡桃館遺跡  秋田県北秋田市
8 八十里越  福島県只見町・新潟県三条市、魚沼市
9 梵天山古墳群  茨城県常陸太田市
10 西方城跡  栃木県栃木市
11 唐御所横穴墓群 栃木県那珂川町
12 上野国分尼寺跡  群馬県高崎市・前橋市
13 デーノタメ遺跡  埼玉県北本市
14 内裏塚古墳群  千葉県富津市
15 松倉城跡  富山県魚津市
16 立山信仰遺跡  富山県立山町
17 富山藩主前田家墓所  富山県富山市
18 北国街道倶利伽羅峠越  富山県小矢部市・石川県津幡町
19 戸室石切丁場跡  石川県金沢市
20 今北山弁財天古墳群 福井県鯖江市
21 曽利遺跡 長野県富士見町
22 大桑城跡  岐阜県山県市
23 杉崎廃寺跡  岐阜県飛騨市
24 坊の塚古墳  岐阜県各務原市
25 松倉城跡  岐阜県高山市
26 韮山城跡  静岡県伊豆の国市
27 普門寺旧境内  愛知県豊橋市
28 板倉家墓所  愛知県西尾市
29 相谷熊原遺跡  滋賀県東近江市
30 佐和山城跡  滋賀県彦根市
31 富雄丸山古墳  奈良県奈良市
32 金蔵山古墳  岡山県岡山市
33 平城貝塚  愛媛県愛南町
34 前畑遺跡  福岡県筑紫野市
35 益生田古墳群 福岡県久留米市
36 松山城跡  福岡県苅田町
37 長野城跡  福岡県北九州市
38 カラカミ遺跡  長崎県壱岐市
39 南関城跡  熊本県南関町
40 都城島津家墓所 宮崎県都城市
41 与論城跡  鹿児島県与論町
42 沖永良部島の古墓群  鹿児島県和泊町・知名町

 

埋蔵文化財とは

埋蔵文化財とは,土地に埋蔵されている文化財(主に遺跡といわれている場所)のことです。埋蔵文化財の存在が知られている土地(周知の埋蔵文化財包蔵地)は全国で約46万カ所あり,毎年9千件程度の発掘調査が行われています。

埋蔵文化財と文化財保護法

文化財保護法では,周知の埋蔵文化財包蔵地において土木工事などの開発事業を行う場合には,都道府県・政令指定都市等の教育委員会に事前の届出等(文化財保護法93・94条)を,また新たに遺跡を発見した場合にも届出等を行うよう求めています(同法96・97条)。出土した遺物(出土品)は所有者が明らかな場合を除き,発見者が所管の警察署長へ提出することになっています(同法100条)。

土木工事等の開発事業の届出等があった場合,都道府県・政令指定都市等の教育委員会はその取り扱い方法を決めます。そして協議の結果,やむをえず遺跡を現状のまま保存できない場合には事前に発掘調査を行って遺跡の記録を残し(記録保存),その経費については開発事業者に協力を求めています(事業者負担)。ただし,個人が営利目的ではなく行う住宅建設等,事業者に調査経費の負担を求めることが適当でないと考えられる場合には,国庫補助等,公費により実施される制度があります。

出土品の取り扱い

出土品については所管の警察署長に提出する必要があり,これが文化財らしいと認められる場合,都道府県・政令指定都市及び中核市の教育委員会が文化財であるかどうかの鑑査を行います。文化財であると認められたもので所有者が判明しないものは,原則として都道府県に帰属されます。

埋蔵文化財の公開

埋蔵文化財は貴重な国民の共有財産です。大切に保存するとともに,できるだけ公開するなど活用に努める必要があります。現在,埋蔵文化財の発掘調査成果を公開する事業が,全国各地で行われています。文化庁では平成7年度から毎年,全国で話題を集めた発掘調査成果を広く集めて展示し,全国を巡回する「発掘された日本列島―新発見考古速報展―」展を開催しています。

指定相当の埋蔵文化財

埋蔵⽂化財は、国や地域の歴史を語る上で⽋くことができないものであり、これを調査しその内容等に応じて適切な保護を図り、広く国⺠にその価値を伝えることは、国や地⽅公共団体の重要な責務です。また、埋蔵⽂化財の保護と開発の両立を図ることも、将来にわたって取り組んでいくべき重要な課題です。

こうした問題意識を受けて、令和4年7月22日に文化審議会文化財分科会から「これからの埋蔵文化財保護の在り方について(第一次報告書)」が公表されました。この報告では、史跡相当の価値を有する埋蔵文化財包蔵地(以下、「指定相当の埋蔵文化財」)の把握の促進と公表、国と地方公共団体の協働による保護の必要性が指摘されています。

この報告に基づき、文化庁では「指定相当の埋蔵文化財」の候補を関係地方公共団体との協議により選択し、文化審議会文化財分科会のご助言を得て、「指定相当の埋蔵文化財」としてリストに登載する遺跡(以下、「リスト登載遺跡」)を決定する作業を実施しています。リスト登載遺跡については、今後も随時公表する予定です。

第一期リスト搭載遺跡一覧(110KB)

これからの埋蔵文化財保護の在り方について(第一次報告書)(1.6MB)

これからの埋蔵文化財保護の在り方について(第一次報告書)(概要)(253KB)

指定相当の埋蔵文化財の取り扱い等について(通知)(110KB)

出典:文化庁 埋蔵文化財

 

 

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