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2023年の夏までにエルニーニョ現象発生可能性が80%に|気象庁2023年5月12日

エルニーニョ現象 気象庁

気象庁は、2023年5月12日、エルニーニョ監視速報(No.368)を発表しました。

気象庁の発表によると、「エルニーニョ現象が今後、夏までの間に発生する可能性が高い」とし、発生確率は80%と予測しました。

⏩️エルニーニョ現象発生 秋にかけて続く可能性高い 気象庁発表 2023年6月9日

2023年夏までにエルニーニョ現象発生可能性80%

冬まで続いたラニーニャ現象で今夏は暑くなる可能性も(気象庁)

現在はエルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していないとみられますが、今後、太平洋赤道域の中部から東部にかけてのエルニーニョ監視海域の海面水温が上昇し、基準値よりも高い値で推移する可能性が高いと予測しています。

エルニーニョ現象は、南米ペルー沖から中部太平洋の赤道域にかけて、海面の水温が平年に比べて高い状態が1年程度続く現象で、世界各地で高温や低温、多雨・干ばつなど異常気象が発生する可能性が高くなると考えられています。

エルニーニョ現象が発生した場合、西太平洋熱帯域の海面水温が低下し、積乱雲の活動が不活発となります。このため日本付近では夏の太平洋高気圧の張り出しが弱くなり、気温が低く、日照時間が少なくなる傾向があります。

また、西日本の日本海側では降水量が多くなる傾向で、冷夏の可能性が高まるとされています。

気象庁は現時点で、今年の夏は全国的に気温が平年並みか平年より高く、厳しい暑さが予想されています。エルニーニョ現象の発生状況によっては夏の天候に影響が出てくる可能性があります。

世界気象機関(WMO)は発生の可能性が高いとみており、世界的な気温上昇につながる恐れがあると指摘しています。

2020年からラニーニャ現象が3年連続で続き、ラニーニャが「異例の長さ」(WMO)にわたったにもかかわらず、世界の気温の高止まり傾向は続いており、15~22年の平均気温は観測開始以来、最も高くなりました。

気象庁によると、ペルー沖の海面水温が低くなるラニーニャ現象が冬まで続いた影響が残り、今夏は暑くなる可能性があるとしています。

エルニーニョとラニーニャ名前の意味と解説

エルニーニョ現象 気象庁

 

エルニーニョ・ラニーニャ現象 4月の実況

太平洋赤道域の状況はエルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態と見られるが、エルニーニョ現象の発生に近づいた。

4月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値からの差は+0.5℃で、基準値より高い値となった。

太平洋赤道域の海面水温は西部と東部で平年より高かった。

太平洋赤道域の日付変更線付近の対流活動は平年より不活発、中部太平洋赤道域の大気下層の東風(貿易風)は平年並だった。

このような太平洋赤道域の状況は、エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態と見られるが、エルニーニョ現象の発生に近づいたことを示している。

 

エルニーニョ・ラニーニャ現象 今後の見通し

今後、夏までの間にエルニーニョ現象が発生する可能性が高い(80%)。

実況では、太平洋赤道域の中部から東部にみられる海洋表層の暖水が、東部の海面水温が高い状態を維持している。

大気海洋結合モデルは、太平洋赤道域の中部から東部にかけて海洋表層の暖水をさらに強め、エルニーニョ監視海域の海面水温が上昇し、予測期間中、基準値より高い値で推移する可能性が高いと予測している。

以上のことから、今後、夏までの間にエルニーニョ現象が発生する可能性が高い(80%)。

 

 

エルニーニョ監視速報(No.368)報道発表 気象庁

2023年4月の実況と2023年5月〜2023年11月の見通し

報道発表日

令和5年5月12日

 

概要

  • 太平洋赤道域の状況はエルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態と見られるが、エルニーニョ現象の発生に近づいた。
  • 今後、夏までの間にエルニーニョ現象が発生する可能性が高い(80%)。

 

本文

4月の太平洋赤道域の海洋と大気の状態は、エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態と見られますが、エルニーニョ現象の発生に近づきました。
今後、夏までの間にエルニーニョ現象が発生する可能性が高い(80%)と予測しています。

以上を内容とする「エルニーニョ監視速報(No.368)」を本日14時に発表しました。

 

報道発表資料全文

 

 

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