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宮内庁生協解散へ|令和3年秋 100年の歴史に幕

御即位30年記帳

 

宮内庁生協、コロナ禍で今秋解散へ 売り上げ激減、100年の歴史に幕 報道

皇居内で売店などを運営していた宮内庁生活協同組合が今秋解散する。

生協の利用は原則組合員だが、皇居への来訪者の利用も多く、「菊の紋」がデザインされた文房具やオリジナルブランド「御苑(みその)」の日本酒などが人気を集めていた。

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で売り上げが激減。前身の組織発足から100年という節目に解散となった。

宮内庁生協には同庁や皇宮警察の職員、OB・OG約1500人が出資している。

宮内庁の本庁舎で売店と書店、理髪店を運営し、桔梗門近くの休憩所「窓明館(そうめいかん)」隣接地でも売店を開いていた。しかし、3~5月にかけて全て閉店した。

これまで宮内庁生協は東京都の許可を得て、組合員だけでなく、職員の案内で皇居内を巡る「皇居一般参観」や清掃ボランティア「勤労奉仕団」で皇居を訪れた人たちにも物品の販売を続けてきた。

取り扱う土産物や記念品は種類も豊富だった。

天皇、皇后両陛下や皇族方の写真が入ったカレンダーや「菊の紋」がデザインされた文房具や小物、菓子などのほか、「御苑」の日本酒や焼酎、ワインなど同生協でしか購入できない商品もあった。いずれも売り上げの大きな柱だった。

だが、新型コロナ禍に見舞われた2020年3月以降、宮内庁は皇居一般参観や勤労奉仕団の受け入れを臨時休止したり、人数を制限したりする対応をとった。

20年の一般参観者は平成以降最多だった19年(14万656人)と比べて8割減の2万7603人となり、勤労奉仕団も同年の310団体8384人から20年は52団体1340人にとどまる。

同生協の供給高(企業の売上高に相当)は19年度の約2億6000万円から約9500万円にまで落ち込んだ。

同生協は存続を目指して増資や金融機関からの借り入れも検討した。しかし、売り上げ回復が難しいなか、1500人の組合員で億単位の減収を補う増資は非現実的だった。

インターネットで寄付を募るクラウドファンディングを始める案もあったが、職域生協が外部資金を入れるのは適切ではないと判断した。

このまま事業継続すれば破綻の恐れもあり、組合員に出資金を返還する余力のあるうちに解散するという流れに変わったという。

宮内庁生協のルーツは1921年に発足した当時の帝室林野管理局の信用購買組合で、51年に現在の組織になった。

同庁OBでもある伊勢崎捨思(すてし)組合長は「断腸の思い。組合員外への物販に頼る構造が招いた結果とも言えるのかもしれないが、(営利目的で事業をしてはならないという)生協の理念や、皇居という場所柄を考えると、『経営努力』には限界があった」と振り返る。解散に伴い、同生協オリジナルブランド「御苑」も姿を消すという。

解散は9月末。今月24日午後の総代会を経て、解散手続きに入る。その後は清算法人に移行し、残余財産の確定などの業務を行う。(毎日2021/6/24 11:57)

 

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