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台風と塩害 舞い上げられた海水が内陸部にも影響 停電や農業被害・鉄道トラブルも 車は洗車を

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塩害

塩害は、塩分に起因する植物・農作物・建築物・構造物に及ぶ害の総称。

海沿いの地域では海水に含まれる塩分により様々な塩害が生じる。

塩分を含んだ潮風が吹き付けることや、海水が沿岸の河川・土壌内に侵入することなどによる弊害がある。

海沿いでなくても、土壌中の塩分によって、農作物の生育不良、コンクリート内に含まれる塩分、主にコンクリートを生成する際に使用する砂利や砂に塩分が含まれることで鉄骨が錆びて膨張し、建築物・構造物への損害・破断を引き起こす。また、コンクリートのひび割れ等から塩分が侵入し、鉄骨の酸化を早めてしまう。

海岸近くの工場や石油・ガス施設、また、船舶などに錆が多く見られる主たる要因。

沿岸部で使用される乗用車のボディやシャシー(シャシーに黒色の塗装がされているのは錆の防止目的)エンジン・電装品に錆や故障などを生じさせる。

海水塩に由来する塩害は、通常は海岸から数kmまでの地域で生じるが、台風の強風などにより海岸から遠く離れた内陸部まで被害が及ぶ場合もある。

 

日本の塩害地域の目安

三菱電機

 

 

台風による塩害

平成3年台風19号(平成3年9月16日に発生)は、9月26日に宮古島の東海上で北東方向に進路を変え、9月27日に長崎県佐世保市付近に上陸。

山口県長門市付近を通過し、日本海上を非常に速い速度で進んだ。28日朝に北海道渡島半島に再上陸。台風は北海道に上陸後、9月28日9時、オホーツク海で温帯低気圧に変わった。

台風は、福岡市や札幌市のほぼ真上を通過した。

 

平成3年台風19号による塩害

台風による強風のため、広島県など瀬戸内海沿岸部から内陸40km先にかけて電線に海水が付着し、さらに、降雨が少なかったことから、塩害が起き、長時間に渡って停電となった地域が出た。

また、愛媛県では、離島部を中心に広域で発生し、大量の温州ミカンの木が枯死した。

平成3年台風19号の経路(気象庁)

 

平成16年台風15号による塩害

平成16年8月に発生した台風15号では、東シナ海から長崎県対馬付近を経て日本海に入り、強い勢力を保ったまま青森県の津軽半島に上陸。平成3年台風19号同様、暴風域が広く、強風であった。秋田県で41.1m/s、山形県でも39.9m/sの最大瞬間風速を観測してる。

そして、降雨量が少なく、台風が東北に上陸した8月20日に降った雨の量は東北地方の広い範囲で5mm未満で、農作物についた塩分が雨水で洗い流されなかったため、被害が広がり、秋田県の男鹿市などでは例年は多くが1等米という地域で、1等米の比率が20%程度にまで落ち込むという(平成16年11月末)生育不良の大きな被害を引き起こした。

この台風による農作物の被害額は、秋田県や山形県などで合わせて234億円余りに上った。

平成16年台風15号の経路(気象庁)

 

 

平成30年台風24号で塩害が発生

台風では、直接的な暴風による電柱の倒壊や電線の切断、大雨による配電機器への浸水など、直接的な要因で停電が発生することがしばしばあるが、平成3年の台風19号のように塩害によって引き起こされる停電や類する事象も決して珍しいものではない。

これまでの経験から、電力会社や鉄道会社では塩害対策を講じている事業者も多い。

 

塩害の引き起こした電源トラブルで京成電鉄などが運休

千葉県などの複数の鉄道で5日、送電線から火花が出るなどし、列車の運休が相次いだ。

京成電鉄では朝から全線運休となり、約10時間後の夜に東京都心と成田空港を結ぶ「スカイライナー」など一部区間で運転が再開された。

千葉市のJR千葉駅でも早朝、列車のパンタグラフから火花が発生し、外房線など計8路線で最大3時間40分の遅れや運休が出た。東武野田線でも電気設備から火花が出て一部区間で運休した。

台風24号の強風で吹き付けられた海水の塩分による「塩害」が原因とみられる。

京成電鉄では3日夜から4日朝にかけても塩害が原因とみられる停電で一部区間が運休。

5日は午前7時45分ごろ、千葉市中央区の京成線西登戸駅に停車中の列車が送電トラブルにより異常を感知し、一部区間で停電。午前8時10分~同9時半ごろ、千葉県船橋市や東京都江戸川区にある京成線の電線でも火花が発生し、全線で運転を見合わせた。同社は6日朝の始発から通常通り運行する予定。

東京電力によると、塩害は塩水が電気を通しやすいために起こる現象。

横浜国立大の西村誠介名誉教授(電子工学)は、台風の強風により海水の塩分が空気中に飛ばされ、電線を電柱に固定して支えるための絶縁体「碍子(がいし)」に付着したことが原因となった可能性を指摘する。付着後、雨や湿気で碍子がぬれて塩水となり、通電してショートしやすくなるという。

台風24号で碍子など電気設備に塩分の付着が確認されたのは、静岡▽神奈川▽東京▽千葉▽茨城--の5都県に上った。

また千葉県内のJAによると、塩害による農作物の被害も確認。塩分が付着して枯れる被害はこれまでの台風でも度々起きており、今回は銚子市と旭市の計386ヘクタールで約8億7000万円の被害があった。

千葉県御宿町では2日夜、東京電力パワーグリッドの送電設備に付着した塩分が原因とみられる停電が発生した。同社の担当者は「付着した塩に弱い雨が降ると、電流のショートが起こりやすくなる。原因となる塩が残っている限り今後も起きる可能性はある」としている。

(毎日新聞)

 

台風21号では和歌山県で500ヘクタールに上る 梅が枯れる

梅の生産量日本一の和歌山県みなべ町では、梅畑の異常が台風が過ぎ去った翌日からすでに始まり、木の葉や枝が変色を始め、葉は枯れて、通常より2か月も早く落ち始めた。

梅の木の葉が枯れて落ちる被害は、町内にある梅畑の4分の1にあたる、500ヘクタール、甲子園球場のおよそ130個分に匹敵する範囲。

原因は、台風で海水が巻き上げられ、塩分を含んだ風が梅の木を直撃したこと。通常の台風であれば雨が塩分を洗い流すが、台風21号では数時間、雨がほとんど降らずに強い風だけが吹き続けた。

今回の塩害は沿岸部だけではなく、内陸に5kmほど入った山間部地域でも発生しており、過去に経験のない広がり方だとしている。

 

 

台風25号の進路

平成30年台風25号コンレイは平成3年の台風19号、特に平成16年台風15号に進路が酷似している。

気象庁では、台風による暴風・大雨などの被害だけではなく、塩害被害についても注意を呼びかけている。

台風情報
平成30年台風25号コンレイ 概況と進路

  台風25号コンレイは、10月7日午前3時頃温帯低気圧に変わりました。 温帯低気圧はこのあとも暴風を伴って北日本に近づき、北日本と北陸では7日昼すぎにかけて非常に強い風が吹くおそれがあり、 ...

 

台風の通過後は車を洗いましょう

台風の通過後は、屋外に駐車していた車やオートバイ、自転車など、早めに洗うことをおすすめします。

車の場合は足回りや下部(シャシー)の洗浄も忘れずに。

オートバイや自転車は、チェーンなどへの油の補充も忘れずに。

北海道などの雪国では、融雪剤に含まれる成分で車体下部が錆びることがありますので冬も下部洗浄を。

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