カセットテープ世代
いま40代前後から上の年齢の世代は、レコードとカセットテープの世代でしょう。
40年ほど前には音楽を屋外に持ち出す方法はとても限られていました。
大きなラジカセ、携帯ラジオ、乾電池でも動くポータブルのレコードプレイヤーなんてのもありました。
あの当時は「音楽を携帯する」という概念がまだまだなく、その他の家電製品もいまとは当然比べるべくもなく。
野球好きの父親が、プロ野球のテレビ中継が試合途中で終了してしまうと、パジャマのまま家から飛び出していって車のラジオで続きを聴いていたのを思い出します。
SNOYとApple
1979年(昭和54年)ウォークマンの初号機「TPS-L2」が発売され、「音楽を携帯する」概念が世の中に登場しました。
このウォークマン、当初は鳴かず飛ばずでしたが、スーパースターの一人であった西城秀樹さんがウォークマンのヘッドセットを着けて、上半身裸でローラースケートをしている写真が月間明星に掲載され、ウォークマンの記事掲載を他誌が相次いで追従、すぐさま店舗の在庫は姿を消し、バックオーダーを抱える大ヒットとなりました。
4年後の83年(昭和58年)に松田聖子さんをCMに起用した「WM-20」が登場、以降、ガム型充電電池の採用など新モデルが投入される毎に機能や携帯性が向上していました。
当時のSONYは、まさに「SONYらしさ」があったと感じます。
Apple iPod
2001年10月、Mac専用のデジタルオーディオプレイヤーとして発表されたのが、iPod。
デジタル技術の発展で、カセットテープの再生のために必要なモーターなどの物理駆動がなくなり、デジタルデータを再生することと液晶画面の表示くらいにしか電力を必要としないことで、小型化と軽さ、飛躍的に伸びた使用時間を実現させました。
翌年にはWindowsにも対応し、世界中で爆発的なヒットを飛ばし、入手困難な時期もありました。
これらはすべて、半導体とバッテリーの技術進化の恩恵に他なりません。
ついて回るケーブル
音楽を携帯する「プレイヤー」はめざましく発展していきましたけれど、音楽を「聴く」デバイス、ヘッドフォンやイヤホンはプレイヤーの先進性に追いついていない感がありました。
ウォークマンに付属したインナーイヤホンの登場は、当時、画期的ではじめて使ったときには感動しましたが、それ以降も、接続ケーブの呪縛から逃れることはできず、使用時も収納時も「コードが邪魔」という状況が続いていました。
Bluetooth
このケーブルの呪縛が、Bluetooth規格の開発によって、解放される方向に向かいます。
策定間もない頃のBluetoothは、チャネル管理やハードの仕様などで、近くにBluetoothを使う別のデバイスがあると相互干渉を起こしたり、他の電波の影響で途切れたり、接続そのものが解除されてしまったりとまだまだ安定して使えるレベルには遠く、たびたび動かなくなるマウスにイライラしたりというようなことが頻繁にありました。
そのBluetooth規格も徐々に能力の向上が図られ、現在では無くてはならない周辺デバイスのひとつにまで至りました。
数あるBluetoothイヤホン
Blutoothイヤホン(ヘッドホン)も、登場した初期には音飛びや切断の問題は散見されましたが、いまではそのようなトラブルも皆無に近く、世界中の主要なオーディオ機器を取り扱う専業メーカーや大手メーカー、ベンチャーなど数多の製品が流通しています。
選ぶのに困るほど数多くの商品が発表されては消えていきますが、結局のところ、発売後、継続して売られ続けている製品にはそれなりの理由があるのだろうと思います。
BOSE
BOSEは、米フラミンガムに本社を置く音響機器の開発・製造を行う世界有数の専業メーカーで、MIT(マサチューセッツ工科大学)のアマー・G・ボーズ教授が、自分自身の研究やそこから生まれた特許技術を製品化する目的で設立しました。
BOSE社は低音の発生のためにとかく大型化しやすいスピーカーシステムを小型化することに成功するなど、独自の技術基準と特許技術が他の同種企業と比較して抜け出ていると評されます。
プロオーディオやコンシュマー向けの音響機器製造が当然目立ちますが、航空機のパイロット向けヘッドセット分野でも評価が高く、民間旅客機から各国軍の戦闘機、ヘリなどに至るまで採用されています。
エンジンや空力など、大きな雑音の発生源を自身に抱える航空機にとって、「ノイズキャンセリング」技術は、いまやなくてはならない必須技術のひとつです。
QuietControl 30 wireless headphones
略称QC30と呼ばれる、Bluetoothイヤホン「BOSE QuiteControl 30」は、2016年10月、当初予定よりも遅れて販売が開始されました。
発表直後から、予約注文が殺到し、製造ラインが間に合わない可能性があったことが遅延理由のひとつともいわれています。
定評のあるBOSEの低音発声とノイズキャンセリング技術を知る人にとっては、すぐにも欲しいアイテムだったに違いありません。
選択理由
過去、私にとってBOSE製品は「低音がブンブンうるさい」メーカーという、よろしくない印象しかありませんでした。
その印象のせいで、どこかBOSEを遠ざける傾向があったのも事実で、視聴もしないという極端さ(冷汗)。
そんな中、Macも使い、iPhoneも使いという状況にありながら、さらに、iPhoneからヘッドホンジャックがなくなるというとんでもない事態!に「変換コネクタは邪魔くさいし、格好悪い」しと、Bluetooth製品を探しはじめました。
ネットを見れば、それこそ多くのメジャーメーカーから大量の製品がヒットする状況でしたが、相対的に評価が高く、かつバッテリーの寿命なども踏まえて、QC30に興味が湧きました。なんと、BOSE製品です(笑)。
機会をみて視聴してみたところ、「しまった」の一言。
しまったの理由は言わずもがな、BOSEを避けてきたのは失敗だった…ということです。
ノイズキャンセリングでハンズフリーで電話もできる
サーバールームで仕事をする機会が多い自分にとって、ノイズキャンセリングは革新的な出会いとなりました。
あの耳障りな音から逃れることができたのです。音楽を聴いていなくても、ノイズキャンセリングは働き、耳栓代わりにもなります。どこかのレビューでイビキ対策に使っているという記事を読んだこともあります。おかげで、ノイズキャンセリング耳栓も発売されたわけです。
ただし、音楽再生などがない無音状態では高域のホワイトノイズがわずかにあります(もちろん、人によって聞こえ方には差があると思います)。
当たり前ですが、プライヤーに接続するためのケーブルがないので、ハンズフリーです。両手を使って作業をしていると、どうしてもケーブルの存在が気になります。立ち上がって、コネクタを壊すなんてことを何度もやらかした身としては、安心この上なし。
さらに、iPhoneなどスマートフォンに接続して使用している場合、マイクも内蔵しているので「電話の通話」も可能。なにしろ、ノイズキャンセリングのおかげで、大きな雑音の中にいてもクリアに相手の話し声が聞き取れることがなんと楽なことでしょう。「は?」「なんて?」「もう一回言って!」みたいなことが起こらなくなりました。
評価はさまざま出ていますが、音質的にも「悪くない」。というよりも、ワイヤレスであり、Bluetoothで圧縮されたデータであるわけで、それらを差し引いても、上級な再生レベルでした。
そして、2016年の発売以降、いま現在も販売が継続されている、ここも選択の理由のひとつとなっています。
iPhone用のノイズキャンセリング量の調整ができる設定アプリや本体のファームウエアアップデートなど、周辺の機能も十分な充実ぶりでとても気に入っています。
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QC30
では、お写真など。
開梱の儀。
表
裏
外装の箱から取り出したところ
箱の蓋は左右に見開き
本体
付属品。
イヤーピースとハードケース。
このハードケースがとても便利です。かなり丈夫なので、バッグに押し込んだりしても平気。もちろん踏んでも…
取扱説明書