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電気がなくても使える石油ストーブを買った3つの理由

 

石油ストーブを買おうと考えた3つのきっかけ

災害と停電

私は、実質4回転職をしています。

これまでの社会人人生のおよそ半分が転勤生活でした。

転勤で、いろいろな土地に住みました。

数々の転勤地では、「気象庁が命名する顕著な災害を起こした自然災害」に巻き込まれる、あるいは、近傍にいるということを複数回経験しました。

地震、台風、洪水、大雪に暴風雪。いずれの災害でも、電気と水さえあればどうにかなりました。

いまのように家庭内での電化製品の占める割合が多くなく、主要な通信手段は家電だけという時代でも、電気と水が断たれることは生命に直結しかねないものでした。

私の幼少時代は、電気設備の災害耐性や耐雷性能、送電のループ化などの技術は発達途上で、たまに停電が起こっていました。いまから40年以上前でも生活への停電の影響は大きく、北国では当時既に「電気の必要な」大きなストーブが当たり前に設置されていましたから、冬の停電は大ごとでした。それでも、現在のオール電化ほどではないことはご想像のとおりです。

そんな中でも、祖母の家は、冬には窓を外からビニールで覆わないとならないようなオンボロでしたけれど、ストーブは石炭、水は手押しポンプの地下水、トイレは汲み取りと停電しても限りなく被害が小さく、避難先として最良でした。

薪や石炭のストーブは自然吸気で燃え、遠赤外線の効果を利用しつつ部屋を温めます。最近の高級な薪ストーブでは強制給排気で電気を使うものもありますが、基本的には無電力で熱源になってくれます。

私は薪ストーブが好きですが、いまどきの都市部では薪や石炭を燃やすと近隣からの苦情もあるようで、まして、賃貸住宅では使用不能です。

3年ほど前の2月、札幌に転居することとなり、会社の斡旋する賃貸集合住宅に入居しました。

北国の賃貸は、エアコンはついていなくても、全室を十分に温められる能力のある石油(またはガス)ストーブは必ずといってよいほど設置されています。

大家さんからお借りしているこの石油ストーブ。決して大きくありませんがとても暖かい。温風でさっさと家の隅々まで温めてくれます。灯油の消費を無視して、家中のドアを開放してしまえば、トイレから浴室まで難なく22~3℃にできます。

上京した頃のアパートは、ストーブを点けても一向に温まらず、洗濯機はベランダに置くし、窓は1枚だし、玄関と部屋を区切る扉はないし、照明器具も台所の瞬間湯沸器もエアコンも自分で買ってつけろと言うし、田舎者にはカルチャーショックの連続という話は別の機会にして、引っ越した1年目の冬は設置された石油ストーブだけで過ごしました。

灯油の消費量は、ピークで1か月120~130リットルでした。

この年の春先に1度、夏場に1度停電がありました。いずれも落雷によるもので、停電時間は1時間以内。

そして、12月の半ば石狩北部に暴風雪警報が発表された夜、「停電」がやってきました。

外気温は、札幌市では低い部類の氷点下12℃。札幌市は都市圏なのであまり極端に気温は下がりません。記録を調べたところ、1978年2月17日の氷点下19.4℃が最低でした。ちなみに私の実家は、いまでも毎年氷点下20℃以下の日があります。

さて。

停電したのは20時頃でした。石油ストーブは電気が必要なので当然動きません。小さいストーブですけど、メーカーの括りでは寒冷地用大型ストーブの部類に入っています。

この日はあまりストーブを強くしていなかったので、停電時の室温は20℃でした。

停電してからおよそ60分で、13℃まで下がりました。それから30分後、室温が10.5℃となったとき大家さんから連絡。周辺の停電は復旧したが、家の町内は別のトラブルで長引きそうと。

選択肢
1.布団かぶって寝る
2.車で暖をとりつつ待つ&仮眠
3.どこかに避難する

建物は鉄筋コンクリート造で日当たりがよく、上下階も居住者がいるので真冬に2~3日不在にしていても室温は4~5℃よりも下がることはほぼない。でもこの日は、数日前から気温が低く経過していて、建物自体の冷え具合も結構な感じ。翌日は早朝から仕事で出かけることが決まっていたので、[3]を選択しました。

時々利用するビジネスホテルに空室があったので予約。荷物まとめて、念のためブレーカー落として、妻と避難しました。

翌朝私はホテルから仕事先に。停電復旧は午前中いっぱいまでかかるらしいことがわかり、妻はその時間をめがけて帰宅することに。

長い話になってしまいましたが、「電気のいらないストーブを買おう」と考えた第一の理由は、停電です。

停電は、気象条件でも、地震でも、事故でも、前触れ無くやってきます。

 

灯油の値段が徐々に高く

※以下、いずれも東京都区部の灯油配達価格

第1時オイルショックが起きた1970年代初頭まで、灯油は18Lあたり500円以下の時代が約15年続いていました。

1973年、第四次中東戦争を機に第1次オイルショックとなり、18Lあたり750円前後まで上昇します。

そして1979年、イラン革命を機に第2次オイルショックが始まり、1982年11月には18Lあたり1,882円まで高騰しました。この頃、小学校のあちこちに「省エネ」というポスターやステッカーが貼られていたのを覚えています。

それから数年を経て、1989年3月に782円下がり、以降15年ほどは18Lあたり1,100円前後を行ったり来たり。

2008年、世界的な金融緩和を背景とした原油への投機資金の流入、中国の経済成長による石油需要の急増、ハリケーン「カトリーナ」による米国メキシコ湾岸の生産停止、さらにイラク戦争の勃発など国際情勢の悪化などがあり、2008年7月にNY原油期近は147.27ドルの史上最高値を記録しました。この時の灯油価格は、史上最高値(2008年8月)2,468円。夏で良かった…。

間もなく、リーマンショックでの下落後、概ね1,250円~1,900円(/18L)の間を推移します。

では、ここ数年の灯油価格はどのような感じかといいますと…

※北海道給油所小売価格(資源エネルギー庁)

2018/11 2018/12 2019/01 2019/02 2019/03 2019/04 2019/05 2019/06 2019/07 2019/08 2019/09 2019/10
ハイオク 166.9 156.6 150.3 151.7 155.8 157.7 159.4 154.9 154.2 152.8 152.8 157.6
レギュラー 156.6 146.8 140.4 141.8 145.6 147.6 149.3 145 144 142.4 142.5 146.8
軽油 139.5 130 124 125.3 128.9 130.9 132.6 128.4 127.5 126 126.1 130
灯油(店頭) 100.9 95.9 90.5 90.3 90.6 91.5 93.4 93.1 92.6 92.4 92.3 92.9
灯油(配達) 102.7 97.8 92.3 92 92.4 93.3 95.2 94.9 94.5 94.4 94.2 94.8
2019/11 2019/12 2020/01 2020/02 2020/03 2020/04 2020/05 2020/06 2020/07 2020/08 2020/09 2020/10
ハイオク 158.2 158.9 162.2 159.3 150.1 133.6 128.8 137.3 139.6 143.5 143.9 143.9
レギュラー 147.4 148.1 151.1 148.6 139.6 123.1 118.2 126.2 128.7 132.4 133 133.2
軽油 130.5 131.1 134 132 122.9 106.9 101.3 109.1 111.6 115.5 116.1 116.1
灯油(店頭) 93.1 93.3 95.3 96.5 90.8 77 70.3 68.9 69 77.4 78 77.8
灯油(配達) 95 95.2 97.2 98.3 92.7 79.1 72.1 70.7 71.1 79.5 80.1 80.1
2020/11 2020/12 2021/01 2021/02 2021/03 2021/04 2021/05 2021/06 2021/07 2021/08 2021/09 2021/10
ハイオク 143.6 146 148.5 151.9 159.4 160.2 159.3 161.9 167.3 167.4 167.8 174.3
レギュラー 132.8 135.1 137.5 140.8 148.2 149.1 148.4 150.8 156.3 156.4 156.8 163
軽油 115.6 118 120.4 123.7 131.1 132 131.3 133.5 139.1 139.1 139.6 145.8
灯油(店頭) 77.9 78.1 79.1 83 88.3 92.5 92.9 93.4 96.7 96.9 97.1 100.2
灯油(配達) 80 80.1 81 84.8 90.2 94.4 95 95.4 98.6 99.1 99.1 102.1
2021/11 2021/12 2022/01 2022/02 2022/03 2022/04 2022/05 2022/06 2022/07 2022/08 2022/09 2022/10
ハイオク 179.5 175.2 176.1 182.2 185.9 183.5 178.1 182.2 181 177.1 177.7 176.7
レギュラー 168.2 164.2 164.9 170.9 174.6 172.3 167.2 171 170.1 166.3 166.9 166.1
軽油 151.1 147.2 147.5 153.5 157.5 155.2 150.2 153.8 152.9 149.4 150 149.1
灯油(店頭) 109.5 111.1 109 112.3 118 119.5 119 118.9 119.3 119.2 119.2 119.1
灯油(配達) 111.7 113.7 111.4 115 120.4 121.9 121.8 121.8 121.7 121.7 121.5 121.8

2020年の冬が安かったので、2021年の冬からの価格がとても高く感じます。

去年、「灯油高いなぁ」と思ったのです。

その上に賃貸我が家は「プロパンガス」なのです。石油が上がれば、プロパンも上がる。

こうして昨冬から、熱源の費用が大きく増えました。

昨冬、自分でセルフのガソリンスタンドに灯油を買いに行けば、90円/1L半ばから後半でした。それが配達だと125円前後。

1Lあたり30円の差に、小さい石油ストーブを補助暖房にしてメインのストーブの使用率が下ればいくらか灯油代が軽減できる、これが第二の理由です。

 

お湯が沸く!モチが焼ける!

私は以前から、温風式のストーブもやかんを載せてお湯を沸かせられればいいのにと思っていました。

ところが最近のストーブは、輻射式でも天板が熱くならないタイプが多い。で、知り合いのメーカーさんに聞いてみたら「いまは天板が熱くなるタイプでも、上に物をのせるために天板が解放されているんじゃなくて上方に放熱するための開放で、やかん・なべ乗せ禁止っていうのが多いですよ。」え?

蛇足ですが。

FF式温風:部屋の暖まりが輻射より早い。運転停止後部屋の温度下降も早い。

FF式輻射:温風に比べ部屋の暖まりが遅い。運転停止後部屋の温度下降が温風式に比べ遅い(遠赤外線効果により、ソファ、壁、などに温かさ残っている為)

寒冷地での出荷は、輻射式7割、温風式3割(ざっくり)。だそう。

知っている人にとっては当たり前。知らなかった私は驚くばかり。

第三の理由。やかんを載せたい。モチを焼きたい。鍋を温めたい。ガス代も節約できる。

 

※このページは追記中です。

 

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