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北海道むかわ町の発掘恐竜 新属新種に認定されカムイサウルスと命名

 

英科学誌 Scientific Reports に掲載

北海道むかわ町で見つかったハドロサウルス科恐竜、通称「むかわ竜」の化石について、北海道大総合博物館の小林快次(よしつぐ)教授らの研究チームは、新種として学名を「カムイサウルス・ジャポニクス」と命名し、9月6日(現地9月5日)付の英科学誌電子版に発表した。

国内で発見され学名が付いた恐竜は8例目。

 

カムイはアイヌ語で神

小林教授は「カムイはアイヌ語で『神』。日本の恐竜の神という意味を込めて命名した。今後生態などの研究を進めていく」と話した。

小林教授によると細い前脚を持ち、背骨の上に伸びる突起が大きく前に傾いていることなどが特徴。また、頭の骨の形状から、薄く平たい板状のとさかがあった可能性があるという。

カムイサウルスは平成15年、むかわ町穂別(ほべつ)の約7200万年前(白亜紀後期)の海の地層から見つかった。

体積比で全身の8割を超える骨格が確認された。

全身骨格では国内最大で、頭部から尾部まで全長約8メートル、体高約4メートル。

 

 

カムイサウルスの発見

むかわ竜の化石は、穂別町(当時)在住の堀田良幸氏によって、2004年4月に発見された

堀田氏は、地元では化石愛好家として知られ、年に数十回の化石採集を趣味としていた。その堀田氏が、散歩の一環で沢沿いを歩いていると、崖の上に化石のようなものを見つけた

この沢は、アンモナイトなどが発掘されることで知られており、堀田自身は当初は大きなワニのものだろうと思っていた。堀田氏の狙う化石はアンモナイトであったこと、若干変わった化石であったことから、穂別博物館の櫻井和彦館長に連絡し、見つけた化石を博物館に寄贈した

現場を見た櫻井館長は、周囲に似たような化石が複数あることを確認したが、発掘した化石を首長竜の尾椎骨と誤認してしまい、首長竜の標本が博物館に大量に収蔵されていたことも相まって、余分な岩石や泥を取り除くクリーニング作業は後回しにされ、収蔵庫に保管してしまった

この化石は、結局、7年もの間収蔵庫に保管されたままとなった。

 

保管されたままの7年の歳月から

保管されたままの7年の歳月から状況が一変するのは、東京学芸大学所属の佐藤たまき准教授が、この化石のクリーニング作業を行ってからだった

佐藤准教授は首長竜の専門家で、人気が恐竜に比べると乏しく、収蔵庫に死蔵している可能性の高い首長竜の化石を求めて全国の博物館を回っていた

2010年に穂別博物館を訪れた佐藤准教授は、櫻井館長から複数の化石を見せてもらい、その中の一つに堀田氏と櫻井館長が発掘した化石が含まれており、佐藤准教授の目からはクリーニング前の外見が「珍しい種類の首長竜」にみえるものであった。しかし、実際にクリーニングをしてみると、この化石は首長竜ではなく恐竜の骨の特徴を持っていることがわかり、2011年8月にこの化石が恐竜の化石である可能性を指摘した

櫻井館長はその指摘を受けて、北海道大学総合博物館の小林快次准教授(当時。現在は教授に昇任している)に鑑定を依頼した

送られた写真を見た小林は一目で恐竜のものだと判断し、化石の現物を見て恐竜のものであると断言した

さらに2012年5月に発掘現場を確認すると、尻尾の続きが化石として残っていることを確認した。また、発掘された地層は、当時波の影響を受けないほど水深の深いところであったことなどもあり、全身骨格が埋蔵している可能性すら高いと考えられた。さらに、2003年発掘の化石に、椎体の後方の関節面の背面側に突起があった。この突起が、他のハドロサウルス科の恐竜と比べて顕著であったことから、新種の可能性も考えられた

小林准教授に説得されたむかわ町は、総額6000万円の予算を計上、本格的な発掘事業を開始した

発掘作業は第1次(2013年9月から同年10月)と第2次(2014年9月)に分けられ、小林准教授を筆頭に、北海道大学の学生と北海道大学総合博物館のボランティアら、穂別博物館の学芸員ら等によって行われた

第1次発掘では、1.2メートルの右大腿骨を含む、後肢と尾椎骨の大部分が、第2次発掘では頭骨の一部や100本の歯が発掘された。この2回の発掘で掘り出された岩石付きの化石は、重量6トンにも及んだ

 

発掘された化石群は全身骨格

2017年には一部の化石のクリーニング作業が完了し、その結果、この化石群が全身骨格であることが判明した

日本で恐竜の全身骨格化石が発掘されたのは、かつて日本領だった樺太(サハリン)で発掘されたニッポノサウルスを含めれば、福井県勝山市で発掘されたフクイヴェナトルと合わせて3例目、前者を含めなければ2例目となる

また、かつて海であった地層から発掘されたハドロサウルス科の全身骨格化石としても世界で3例目という稀な例となった。

2019年3月には、ほぼすべての化石のクリーニング作業が完了し、その結果、この化石が骨の個数を分母にすると60%、総体積を分母にすると80%にも及ぶ完成度のきわめて高い全身骨格化石であることが分かった

頭骨・肩帯・前肢・胴椎骨・腰帯・大腿骨・尾椎骨はすべて存在するこの骨格化石は、日本で発掘された化石としては最も完成度の高いものとなった。

 

 

親族新種

北海道大学・穂別博物館・岡山理科大学・米国ペロー自然科学博物館・筑波大学・モンゴル古生物学地学研究所 (Institute of Paleontology and Geology of Mongolian)・東京学芸大学らが共同研究したところ、他の恐竜とは異なる特徴が複数見られたことから、新種の可能性がより高まった。さらに研究を進めたところ、3つの固有の特徴と、13のユニークな特徴を併せ持っていることがわかり、新属新種であることが認定された

 

 

 

 

 

 

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