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奥沢水源地 北海道最古の水道用ダムと美しい階段式溢流路 2018年の一般公開は9月9日まで 北海道小樽市

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小樽の水がめ

北海道は、その自然環境から「名水」と呼ばれる水源が数多くあり、小樽市もまた良水の地域として知られてきた。

明治のはじめ北海道の本府が札幌に定められると、海の玄関口となった小樽は、本州への石炭の積み出しや物資輸送のため北海道初の鉄道が小樽(手宮)〜札幌に敷設、江戸末期から盛んに行われていた鰊漁や開拓民の上陸などで、多くの船舶会社や金融機関、商社が進出、北のウォール街と呼ばれるほどの北海道経済の中心地として発展しました。

人口の急増と船舶の水需要増大に対応するため、1907年(明治40年)に認可・着工、1914年(大正3年)に完成したのが、奥沢ダムです。

 

北海道で最も古い水道用ダム

北海道では、最も古い水道用ダムとされる奥沢ダムは、近代水道創設期に全国で多くの水道を手がけ「近代水道の父」と呼ばれた中島鋭治の指導のもとに設計・施工され、完成の後は、1世紀にわたって小樽の水がめとして水道用水を供給してきました。

ダムの歴史的価値、また、階段式溢流路の美しい構造が高く評価され、1985年(昭和60年)には厚生省が企画した近代水道百選に選定されました。

さらに2008年(平成20年)には、公益社団法人土木学会により、土木学会選奨土木遺産に選定された。

 

溢流路

一般的にダムというと高いコンクリート壁で囲まれた巨大な堰堤を想像しますが、奥沢ダムの本体は、堤高が28.2mと決して高くはありません。

奥沢ダムは堰堤の大半が土で覆われており、形式は、土堰堤(アースダム)方式で、ため池のような形状です。

ダムには取水塔と、流入した水が多くなり溢れることを防止する機構として「溢流路(えつりゅうろ)」が建設されました。

 

階段式溢流路

奥沢水源地水道施設は、貯水池に水を溜めるための ダムが土堰堤のいわゆるアースダムで、貯水池内に1基の 取水塔と、貯水池の水位が一定以上になると溢れ出る 溢流路 えつりゅうろ を備えている。貯水池の上流には、水門を取り付 けた引き入れ口堰堤を設け、通常は河川水を貯水池に 引き入れている。豪雨により水が濁った場合などは、こ の水門を閉めて放水路に水を導き、さらに非常出水の場 合には、水門と放水路に設置した非常水門を開放して 貯水池内に水を引き込み、溢流路から溢出させる設計 となっている。これらの水門は現場での人力操作となっ ている。 この溢流路こそが、練石積みで造った「階段式溢流路」である。約21mの落差を10段で流れ落ちる水の様 子から地元では「水すだれ」と呼ばれ、寒冷地での工事 技術と水階段(カスケード)の水の流れの美しさが高く評 価されているだけでなく、水道専用ダムの溢流路の水階 段としては最大級といわれている。周囲を囲む深い木々 の緑が、夏には爽やかな涼感を誘い、秋には紅葉に映 えるなど、四季折々の美しさが、訪れる人々にひと時の安 らぎを与える景観を醸し出している。

(出典:JCCA 一般社団法人 建設コンサルタンツ協会・土木遺産)

 

水すだれを生み出す流れ「階段式溢流路」建設コンサルタンツ協会・土木遺産 PDF↓

https://www.jcca.or.jp/kaishi/246/246_toku6.pdf
https://www.jcca.or.jp/kaishi/246/246_toku6.pdf

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97年の歴史に幕 奥沢ダムの利用廃止

2011年(平成23年)6月、漏水量と濁りに異常が見つかり水位を低下させて調査を実施したところ、堤体に直径約3m、深さ1.4mの円錐状の陥没が発見されました。。

これは堤体内に長い年月をかけて徐々に浸水した水によって、筒状の穴ができたこと(パイピング現象)を示しており、堤体の破壊に繋がりかねない状況と判断、ダム下流には小樽市街地があり、万一堤体の破壊が発生した場合には重大な被害が発生する恐れがあることから、小樽市では取水塔からの非常放流と排水ポンプによる緊急排水に着手、水位を陥没箇所より低く抑える対策を講じました。

小樽市では、陥没箇所の補修方法を検討しましたが、現行法の基準に対応した補修を行うためには数十億円の費用を要することが明らかとなりました。

この2011年時点で、奥沢ダムは小樽市の水道水供給量の8%を供給するのみであり、朝里ダム等他の水源で代替が可能であることから、同年8月、小樽市は奥沢ダムの廃止を決定しました。

その後も北海道や北海道開発局からの支援を受け、大雨への警戒態勢を確保しポンプによる排水を継続したものの、春の融雪期には大量の雪解け水が流入するため、ポンプによる排水が非常に困難となることなどから、ダム湖に流入する二股沢川の水を直接勝納川に流下させる対策をとり、2012年(平成24年)3月、堤体中央部を掘削撤去し排水路を設置する工事が行われました。

小樽市公式・広報おたる『奥沢ダムを廃止します』

 

奥沢水源地 階段式溢流路を訪問

8月上旬、期間限定で一般公開されている現地を訪問してきました。

当日は比較的雲の多い空でしたが、海の近くらしく風に流れる雲の流れは速く、時折あらわれる夏の太陽は肌に痛いほどの日差しを注いでいました。

 

臨時駐車場から、取水塔方向

 

階段式溢流路にかかる「奥沢水管橋」に通じる通路入口

 

通路に入った辺りで、すでに心地よい水の流れる音が聞こえてきます

 

奥沢水源地の概要図

 

一般公開の期間以外は、鉄の門扉が閉じられ「階段式溢流路」の全容を見ることはできません

 

訪問した午後2時頃、3組ほどの訪問者の方がいらっしゃいました
この時は雲が多く、ちょっと残念な感じ

 

奥沢水管橋から、駐車場方向

 

こちらが、階段式溢流路。日差しが降り注ぐと、水の流れがとても綺麗です

 

晴れてくると日差しが痛いほど暑い日でしたが、橋の付近にいると流れる水が周囲の温度を吸い取ってくれ、とても涼やか
時折吹く風も清涼感いっぱいです

 

下流側
以前は階段式溢流路の最下段から石畳の水路までの間が市民に解放されて、夏の暑い時期、子供たちの憩いの水場となっていたそうです。残念ながら、水の事故が起きたことで水辺への立ち入りを禁止、原則閉鎖となったそうです。

 

降りることができれば気持ちよさそうな水の流れる石畳

 

別の角度から見た階段式溢流路

 

スローシャッターで1枚

 

アクセス

所在地:北海道小樽市天神町2丁目付近

乗用車:小樽駅から約5.7km・およそ15分
国道5号線を札幌方面へ向かい、奥沢十字街(右側に北陸銀行、左側に交番と北洋 銀行がある)を青看板にしたがって赤井川方面(国道393号)へ右折、そのまま 道なりに水源地方面(道道697号)へ進む

バ ス:北海道中央バス小樽駅前バス停から天神町方面行きで、「天神町(終点)」バス停下車
    天神町バス停から徒歩約700m・およそ15分

 

それではみなさん、またどこかで〜

 

 

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